言叶之庭 电影原声+剧本
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言叶之庭 电影原声+剧本

(タカオ)
こういうことを 2カ月前高校に入るまで俺は知らなかった
制服の裾を濡らす他人の傘
誰かのスーツに染みついたナフタリンの臭い
背中に押しつけられる体温
顔を吹きつける エアコンの不快な風
(駅アナウンス)
新宿 新宿です
新宿に到着です
ご乗車ありがとうございました
(タカオ)
子どもの頃 空はもっと
ずっと近かった
だから 空の匂いを連れてきてくれる雨は好きで
雨の朝はよく 地下鉄には乗り換えずに改札を出る

(タカオ)
チョコレートとビールって…
でも この人 どこかで…
あっ!
(ユキノ)どうぞ
すみません
あの… どこかで
お会いしましたっけ?
え?
いいえ
すみません 人違いです
いいえ
あ…
あってるかも
鳴る神の
少し響(とよ)みて さし曇り
雨も降らんか
きみを留めん

(テレビの音声)

気象庁は今朝 例年より5日早く
九州中国四国地方の梅雨入りを発表しました
活発な梅雨前線の影響で
長崎 佐賀 熊本 鹿児島県といった――
広い範囲で雨が強まり
現在 各地で大雨もしくは洪水…
(タカオの兄)ただいま
(タカオ)おかえり
コロッケ 買ってきたぜ
ありがと
メシ すぐだから
サンキュー
おふくろは?
家出
ラッキー コロッケ山分けだな
捜さないでくださいって手紙にあったけど
本当にいいのかな?
(タカオの兄)放っとけよ
どうせ彼氏とケンカして帰ってくるだろ
部屋決めてきた
来月出てくから
一人暮らし?
彼女と住む
それが家出の原因なんじゃないの 母さんの
昨日 話したの?
ああ いい加減 子離れしてほしいぜ
自分は一回りも下の男と付き合ってるくせに
(タカオの母)
いいわよ!
じゃあ 私も彼氏と住むんも
(タカオ)
フフッ あの人 若く見えるからね
(タカオの兄)
苦労してないから若いんだよ
その分 お前が老けてくな
ごちそうさま
俺が老けないように 洗い物 よろしく
部屋が広くなって嬉しいだろ
まあね
引っ越し 手伝えよ
うん
ああ 兄貴 これ分かる?
何?俳句?
短歌だよ
知るわけないだろ
こういうのは おふくろが帰ったら聞けよ

(タカオ)晴れた朝は
ちゃんと地下鉄に乗り換えて
ここに来る
でも こんなことをしている場合じゃないって 思う
雨だ
あっ
こんにちは
どうも
(ユキノ)ねえ
えっ!?
学校はお休み?
会社は休みですか?
(ユキノ)フフッ
またサボっちゃった
フッ
で 朝から公園でビールを飲んでる
酒だけって あんまり体によくないですよ
何か食べないと
高校生が詳しいのね
あ 俺じゃなくて 母が飲むんだから
あるよ おつまみも
食べる?
うわっ
今 ヤバイ女だって思ったでしょ?
いや…
いいの どうせ人間なんて
みんな どっかちょっとずつおかしいんだから
そうかな
そうよ
じゃあ そろそろ行きます
これから学校?
さすがに サボるのは
雨の午前中だけにしようって決めてるんです
ふうん
じゃあ また合うかもね
(ユキノ)もしかしたら 雨が降ったら
(タカオ)その日が
関東の梅雨入りだった

新宿御苑
(ユキノ)靴職人?
(タカオ)現実味がないことは分かっているけど
ただ 靴の形を考えたり
作ったりすることが好きなんです
もちろん まだ 全然ヘタクソだけど
当たり前ですけど
(タカオ)それでも できることならそれを仕事にしたい
そう誰かに言ったのは初めて

お前 何時だと思ってんだよ
呼び出された理由は分かってんだろうな
あっ ちょっと 兄貴

(タカオ)夜 眠る前
朝 目を開く瞬間
気づけば 雨を祈っている
晴れの日には
自分がひどく子どもじみた場所にいるような気がして
ただ 焦る
仕事とか会社とか あの人が普段いるのであろう世界は
俺には とても遠い
まるで――
世界の秘密そのものみたいに 彼女は見える
はっきりと分かっていることは2つだけ
あの人にとって 15の俺はきっと
ただのガキだということ
そして 靴を作ることだけが
俺を違う場所に連れていってくれるはずだということ

(駅のアナウンス)
危ないですから
黄色い線までお下がりください
一番線 ドアが閉まります ご注意ください
フウ…
おはようございます
今日は来ないかと思ったけど
よくクビになりませんよね 仕事
フフッ
すごい 靴のデザイン?
ああっ ちょっと!
だめ?
人に見せるもんじゃないから
― そうかな?
― そうです!
ほら あっち座ってください
(タカオ)
俺 朝飯食べますけど 一緒にどうです?
(ユキノ)ありがと
でも私 今日は自分の分持ってきたの
え?自分で作って?
なによ 時々作るのよ
へえ
じゃあ おかず交換しましょう
えっ ちょっと 私あんまり…
んっ?
ガリッ
自信ないから 料理…
自業自得よ
フフフ…
意外に不器用なんですね
何よ
ごめんなさい
でも うん これはこれでうまいですよ
歯応えもあるし
バカにしてるでしょ
もう1つ もらっていいですか?

(タカオの兄)早く来いよ
(タカオ)待ってよ お兄ちゃん
(タカオの母)タカオ 気をつけて
(3人)お誕生日おめでとう お母さん
ありがとう
3人で何 選んでくれたのかな
(ユキノ)ねえ

まだ大丈夫なのかな?
はぁー
(ユキノ)
それでね ちゃんと味がするの その人のお弁当
(伊藤)
よくなってきたんだな 味覚障害
そんなに大げさなものでもないけど
でもね ちょっと前までは本当にチョコレートとアルコールくらいしか味がしなかったから
やっぱり 思いきって仕事辞めることにしてよかったじゃないか
うん そうかもね
今 思えばもっと前…
(ユキノ)
この人は いかにも優しそうに話す
まるで 壊れ物に触れるみたいに
でも息をするのもつらかった あの頃
あなたは周りの声ばかりを聞いていて
私を信じてはくれなかった
(伊藤)
じゃあ 退職手続きは休み明けに
上には俺から伝えとくよ
うん
別れた後まで面倒かけて ごめんね
よかったな ほんとに
え?
(伊藤)そのおばあちゃんに会えてさ
誰ってほら 公園の
そのお弁当を持ってきてくれるっていう人
お互い いい気晴らしだろ?
ああ ゆっくり休めよ
(ユキノ)あれ以来 私――
ウソばっかりだ

んー
雨だ
(テレビの音声)
関東は今日も一日雨です
ここ新宿 南口でも 通勤の皆さんは傘を手に…
(ユキノ)ねえ これ お礼
(タカオ)お礼?
結局 君のお弁当ばっかりいただいちゃってるから
欲しいって言ってたでしょ?
こんなに高い本
ありがとう… ございます
どういたしまして
あの 俺…
今 ちょうど 靴を 1足 作ってるんですけど
すごいね 自分の靴?
誰のかは決めてないけど
女性の靴です…
でも どうもうまくいかなくて
それで…
私ね
うまく歩けなくなっちゃったの
いつの間にか
それって 仕事のこと?
うん… いろいろ
(タカオ)この人のことを まだ何も知らない
仕事も年も 抱えた悩みも 名前さえも
それなのに どうしようもなく惹(ひ)かれていく

(ラジオの音声)例年より10日遅く
本日 関東甲信の梅雨明け宣言が出されました
都心の現在の気温は26度
(ユキノ)
まるで誰かがスイッチを切り替えたみたいに
晴れの日ばかりが続くようになった
あの子が授業をサボる口実が減ってよかった
なんて 今さらみたいに考えたりはするけれど
でも本当は
梅雨が
開けてほしくなかった

あっ
広い公園だね
新宿とは思えないな
あっ すいません
いいえ
ここが日本庭園でしょ?次 どこに行こうか?
温室があるんだろ? 行ってみない?
見たい 見たい
(ユキノ)
晴れの日のここは 知らない場所みたい

(兄の彼女)お疲れさま
ねえ タカオくんも一緒に食事行かない?
すみません 今日 バイトなんです
これから?
お邪魔しちゃ悪いし
逆よ
私 これからずっとあの人と2人なんだから今日くらい
(タカオの兄)おい 聞こえてるぞ
(タカオ)それじゃ また
かわいい子だよね
気づいた? あいつの靴
あれ手作りだぜ
えっ ウソ!
不格好なモカシンだけどな
将来 楽しみじゃない? 私の靴も作ってくれないかな
どうかな 10代の目標なんて3日で変わるから
(タカオ)
兄が家を出て
雨が降らない日ばかりが続き
あの場所に行く口実ができないまま 夏休みが来た
(タカオ)
夏休みには ほとんど毎日バイトをのれた
じゃあ
鶏肉のカシューナッツ炒めとか
― おいしそう
― おいしそうね
じゃ それもらおう
(タカオ)
専門に行くための学費を少しでも貯めておきたかったし
道具にも革にも 金はかかる
あの人に会いたいと思うけれど
その気持を抱え込んでいるだけでは
きっと いつまでもガキのままだ
だから 何よりも 俺は
あの人がたくさん歩きたくなるような靴を作ろうと
そう決めた

(ユキノ)明日 天気になーれ
(ユキノ)27歳の私は
15歳の頃の私より少しも賢くない
私ばっかり ずっと同じ場所にいる

(生徒A)
困っちゃってさ ほんと ツキシマらしいよな
1週間も勘違いだぜ
(生徒B)英語の課題は平気だよ
(生徒C)キソセン 甘いからな
(佐藤)秋月くん
よお 久しぶり
お前たち 焼けたな
エヘ 結構 海に行ったからね
(松本)
お前は相変わらず白いな 夏休み どうしてた?
― ずっとバイト
― ずっと?
(松本)寂しい高校生活だな
学校 バイト 家事
学校 バイト 家事
(タカオ)適当にサボってるよ
(佐藤)
そういえば よく遅刻してたよね 秋月くん
そ! こいつ 雨の1限は来ない
雨の朝は地下鉄に乗れなくなる病なんだ
ふざけんだよ
えっ
はっ
えっ ユキノ先生?
先生
佐藤さん
(伊藤)佐藤 後にしてくれ
(生徒たち)先生 ユキノ先生
ほら お前たちも
ごめんね みんな
5限の後まではいるから よかったら 後で
ユキノちゃん 学校に来たんだな

(松本)
ユキノちゃんが学校辞めるって話 知らない?
知らない
誰かも知らない
お前のクラスの古典 竹原ジイだったか
ユキノちゃん 3年の女子たちとずっとモメてたらしいぜ
ていうか ユキノ先生は全然悪くないのよ
(佐藤)
誰かの彼氏がユキノ先生に惚(ほ)れちゃったとかでさ
逆恨みしてクラス全員で散々 先生に嫌がらせして
親にまでデタラメな噂(うわさ)ばらまいて
学校に来れなくなるまで追い込んで
ユキノちゃん 優しすぎるんだよ
あそこまでされたら
いっそ警察に届け出りゃよかったんだ
私たち 伊藤先生とかに何度もそう言ったのよ
でも結局 学校だって
大ごとにしたくないから…
(松本)おい どうした?
(タカオ)その先輩たち…
(松本)え?
名前 分かる?
― 先生
― ユキノ先生

(相沢)
で そいつがヘタクソでさ
(森山)ひでえな お前
ていうか ショウコ 変わり身 早いよね
何だ 1年
相沢先輩って
告白か?
誰? あんた
ユキノ先生 辞めるそうですね
はあ?
関係ないんだけど
あんな淫乱ババア
何すんだ こいつ
え? 何 何?
何だ お前
グッ!
先生のところ 知らせに行こう
ショウコ 知らない子だよね
お前 何なの あのババアに惚れてんの?
キモくない?
ユキノ 歳いくつか知ってんの?
(相沢)
かわいそうに
だまされちゃったんじゃない?
でも今度は振り向いてもらえるかもな
もうユキノ教師じゃねえんだから
いえてる
(相沢)
じゃあ 感謝してほしいね

(タカオ)雨を待っている
鳴る神の
少し響(とよ)みて 降らずとも
吾は留まらむ 妹し留めば
そう
それが正解
私が最初に君に言った歌の返し歌
雨が降ったら 君はここに 留まってくれるだろうか?
そういう歌に対して
雨なんか降らなくてもここにいるよって答えてる
万葉集 教科書に載ってました
ユキノ… 先生
ごめんなさい
古典の教師だって気づいてもらえるかなと思ったんだけどな
それに私 学校中の人に知られちゃってると思ってたから
でも君は違う世界ばっかり見てたのね
ねえ その顔 どうしたの?
先生のマネしてビールを飲んで
酔っ払って山手線のホームから落ちました
ウソ!
ウソです
ケンカくらいします
私たち 泳いで川を渡ってきたみたいね
フフフ…
きゃあ
うわっ
クシュン

(タカオ)今まで生きてきて
今が
(ユキノ)今が一番
(2人)幸せかもしれない
ユキノさん
うん?
俺 ユキノさんが好きなんだと思う

“ユキノさん”じゃなくて
“先生”でしょ
先生は来週 引っ越すの 四国の実家に帰るの
ずっと前から決めてたの
私はね
あの場所で
1人で歩けるようになる
練習をしてたの 靴がなくても
だから?
だから
今までありがとう 秋月くん
あの… この服 ありがとうございました
着替えます
まだ乾いて…
あの 俺
帰ります
いろいろ ありがとうございました
あ…
(ユキノ)うう…
うう…
(タカオ)
これ 自分の弁当なんですけど
多めに作っちゃったから よかったら
誰のかは決めてないけど
女性の靴です…
先生のマネしてビールを飲んで
酔っ払って山手線のホームから落ちました
鳴る神の
少し響(とよ)みて 降らずとも
吾は留まらむ 妹し留めば

♪前奏
ああっ!
あの…
ユキノさん
さっきのは忘れてください
俺 やっぱりあなたのこと 嫌いです
最初から あなたは何だか…
イヤな人でした
朝っぱらからビール飲んで
わけの分からない短歌なんかふっかけてきて…
自分のことは何も話さないくせに人の話ばっか聞きだして
俺のこと 生徒だって 知ってたんですよね?
汚いですよ そんなのって
あんたが教師だって知ってたら
俺は靴のことなんてしゃべらなかった
どうせできっこない 叶いっこないって思われるから
どうして あんたは そう言わなかったんですか
子どもの言うことだって 適当に付き合えばいいって思ってた?
俺は何かに
誰かに憧れたって そんなの届きっこない
叶うわけないって あんたは最初から分かってたんだ
だったら ちゃんと言ってくれよ
邪魔だって ガキは学校に行けって
俺のこと 嫌いだって
あんたは…
あんたは一生 ずっとそうやって
大事な言葉は絶対に言わないで 自分は関係ないって顔して
ずっと1人で――
生きていくんだ
(ユキノ)毎朝…
毎朝 ちゃんとスーツ着て 学校に行こうとしてたの
でも 怖くって どうしても行けなくて
あの場所で 私
あなたに
救われてたの

♪言葉にできず凍えたままで
♪人前ではやさしく生きていた
♪しわよせで こんなふうに雑に
♪雨の夜にきみを抱きしめてた
♪道路わきのビラと壊れた常夜燈
♪街角ではそう 誰もが急いでた
♪きみじゃない 悪いのは自分の激しさをかくせない僕のほうさ
♪Lady きみは雨にけむる
♪すいた駅を少し走った
♪どしゃぶりでもかまわないと
♪ずぶぬれでもかまわないと
♪しぶきあげるきみが消えてく
♪路地裏では朝が早いから
♪今のうちにきみをつかまえ
♪行かないで 行かないで そう言うよ

(タカオ)夏が終わり
やがて 冬服の季節が来て
期末試験では案の定ひどい点を取り
高価な革を何枚も無駄にし
冬休みには またバイトをして
外出の服が1枚ずつ厚くなるたびに
あの人は どうしているだろうかと思う

♪別々暮らす 泣き出しそうな空を
♪にぎりしめる強さは今はもうない
♪変わらずいる心のすみだけで傷つくような きみならもういらない
♪Lady きみは雨にぬれて
♪僕の眼を少し見ていた
♪どしゃぶりでもかまわないと
♪ずぶぬれでもかまわないと
♪口笛ふくぼくがついてく
♪ずいぶんきみを知りすぎたのに
♪初めて争った夜のように
♪行かないで 行かないで そう言うよ
♪肩が乾いたシャツ改札を出る頃
♪君の町じゃもう雨は少降りになる
♪今日だけが明日に続いてる
♪こんなふうに きみとは終われない
♪Lady きみは今もこうして
♪小さめの傘もささずに
♪どしゃぶりでもかまわないと
♪ずぶぬれでもかまわないと
♪しぶきあげるきみが消えてく
♪路地裏では朝が早いから
♪今のうちに きみをつかまえ
♪行かないで 行かないで そう言うよ
♪どしゃぶりでもかまわないと
♪ずぶぬれでもかまわないと
♪口笛ふくぼくがついてく
♪ずいぶんきみを知りすぎたのに
♪初めて争った夜のように
♪行かないで 行かないで そう言うよ

(タカオ)
歩く練習をしていたのは きっと俺も同じだと 今は思う
いつかもっと
もっと遠くまで歩けるようになったら
会いに行こう

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。物語に登場する公園は新宿御苑をモデルに描かれておりますが、実際には新宿御苑での飲酒は禁止されておりますことにご注意下さい。
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